ぶら~りネット探訪

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『プリンス論』を読んだ

西寺郷太の『プリンス論』を読んでみました。TBSラジオマキタスポーツプチ鹿島サンキュータツオがやっている『東京ポッド許可局』みたいなタイトルの本ですが、ミュージシャンのプリンスについて書かれた本です。

プリンスは80年代に大活躍したミュージシャンで現在も活動しています。私も『パープル・レイン』から『LOVESEXY』までリアルタイムで聞いていました。この本はプリンスの生い立ちから現在までの活動ほぼ紹介したプリンスの入門ガイド的な本になっています。

帯には「音楽家ならではの視点」と書かれていますが、正直そんなに特別な視点は感じませんでした。プリンスの曲をBPM(曲のテンポ)や歌唱法(ファルセットか地声か)という点から分析している部分もありますが、そんなに深い分析には思えませんでした。熱狂的なファンからの視点は感じます。そう言えば藤井郁弥小泉今日子もプリンスのファンだった気がします。藤井郁弥はギターを弾くときのプリンスのアクションを真似していたときがありました。

岡村靖幸は和製プリンスと呼ばれていたときがありました。岡村靖幸とプリンスの決定的な違いは身長とベースの扱いですね。この本にも書かれていようにプリンスの『ビートに抱かれて』ゆ『キッス』などベース自体がない曲があったりあまりベースを強調しなかったりするのに対して岡村靖幸はしっかりベースを効かせています。

西寺郷太が書いた本なのでツッコミどころがけっこうあります。プリンスが影響を受けた音楽になぜかP-FUNKがないのがとても不思議でした。時が経ち立場が変わってジョージ・クリントンはプリンスのペイズリー・パークレコードから2枚アルバムを出しているのですが、その辺の事は全く触れられていません。その代わりと言ってはなんですがラリー・グラハムの影響で「エホバの証人」に入信したことが書かれていました。

2006年にリリースされた『3121』には「パーブル・チケット」が入っていて当たりがでるとプリンスの自宅スタジオでプライベート・ライブ見られる仕掛けになっていたそうな。この売り方はAKB48の握手券入りCDのヒントになったと書かれていたました。握手券は別にして自宅のスタジオに招待と言うのは『チャーリーとチョコレート工場』の ウィリー・ウォンカのチョコレート工場にご招待というのを思い出しました。

2015年のグラミー賞授賞式でプリンスの「アルバムって覚えてる?」というスピーチに西寺郷太は深い意味を見出していますが、私は疑問を感じます。プリンスが言っている「アルバム」はベストアルバムやシングルを集めたアルバムではなく、コンセプト・アルバムの事だと思うのですよ。音楽配信によってコンセプト・アルバムの存在が希薄になっていることへのプリンスの問題提起だと思うのですが、ハードやシステムによって音楽の作り方、聞き方が変化していくのは世の常というか、ある程度仕方のない事ではないかと思います。と言いつつアルバムとい形態はまだ簡単には廃れないと思います。それよりも1曲単位で配信される現在、シングルやシングル・チャートって意味あるのかと思います。

プリンス論 (新潮新書)