ぶら~りネット探訪

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『アイアン・スカイ』を見た

ティモ・ブオレンソラ監督のフィランド映画『アイアン・スカイ』を見ました。

ナチスの残党が月の裏側からUFOで攻めくるというB級、バカ映画です。字幕は高橋ヨシキ、字幕監修は町山智浩という『映画秘宝』な映画ですから。

UFOを飛ばしているのはナチスの残党というのはけっこう古典的な都市伝説ですが、月の裏側に落ち延びていたといのが新鮮でした。月から同じ人類が攻めてくるというのは『∀ガンダム』も思い出しました。予告のナレーションが永井一郎(磯野波平)だったのも、おそらくその辺からの連想だと思います。『ディクティター』を見た時に、ニコニコ動画のコメントが被せられた予告をやっていました。

ナチスの地球学者レナーテ(金髪のねーちゃん)が最初は野暮ったい感じだったのが、地球にやって来てアメリカ大統領の広報官に出会ってセクシーな感じに変わってしまうのが一番驚きました。ナチスの軍服は今見てもカッコ良いいのですが、それに現代的なセクシーさが加わるのだから鬼に金棒。残念なのはナチスの女性がレナーテ1人しか出て来ないところです。

2018年のアメリカはサラ・ペイリン似の女が大統領というのがこの映画のもう一つの肝です。もちろん共和党の大統領でレナーテの演説に感動し、選挙のプロパガンダに使ってしまいます。実際に共和党あるいはキリスト教右派の思想がナチスの思想に近いという強烈な皮肉ですね。この映画、一見ナチスが悪者のように見えますが、現在のアメリカに対する皮肉の方が強烈だったりします。この映画とサシャ・バロン・コーエン『ディクティター』はコラボしていましたが、現代のアメリカを皮肉っている点や奇妙なラブストーリーが物語の軸となっているところも似ていました。

『ディクティター』が21世紀の『独裁者』だとすると『アイアン・スカイ』は21世紀の『博士の異常な愛情』かもしれません。黒人のジェームズ・ワシントンがナチスによって白人にさせられて車椅子で登場するシーンで右手を抑えるところや、国際会議が最後に乱闘になるところはそのまんまでした。『マーズ・アタック!』や『スターシップ・トゥルーパーズ』みたいな雰囲気もありますね。ナチスのUFOが現れたときに、国際会議で北朝鮮代表が「UFOは我々が開発した!」と言って一同爆笑のシーンは笑えます。

ナチスのUFOがニューヨークを襲うシーンはやっぱり痺れました。ナチスに対抗するアメリカ軍の航空機で最初に登場するのがなぜかA-10 サンダーボルトIIだったのが印象に残りました。その後にF-22も登場していました。

この後、戦いは宇宙へと移り宇宙戦艦「ジョージ・W・ブッシュ」を中心とする地球の宇宙艦隊ナチス宇宙艦隊の決戦となります。宇宙戦艦「ジョージ・W・ブッシュ」はそれらしい形をしていましたが、その他の宇宙戦艦は宇宙ステーションにしか見えないところがリアルで笑えます。日の丸がペイントされた宇宙船も登場し、最後カミカゼアタックを決めていました。

ナチスの巨大戦艦「神々の黄昏」が飛び立つシーンは宇宙戦艦ヤマトが最初に飛び立つシーンのオマージュのようにも見えました。ちなみに『アイアン・スカイ』の制作費は7,500,000ユーロだそうです。1ユーロ105円で計算すると約7億8千万円。『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の制作費は20億円みたいです。

月の裏側のナチスの基地を核攻撃、「神々の黄昏」もレナーテとジェームズ・ワシントンの機転で沈められ、一件落着と思いきや最後はハッピーエンドではありません。ラストの展開はまさに『博士の異常な愛情』でした。

『ディクティター』に比べると笑いの量はやや少なく、中盤ちょっとダレるところもありますが良かったです。ゲラゲラ笑えるSF映画って最高ですね。

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