ラリー・チャールズ監督、サシャ・バロン・コーエン主演の『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』を町山智浩のトークショー付きで見ました。
中東に存在する独裁国家ワディア共和国は核開発を行なっており、世界中から非難を浴びていた。国連総会に出席し、核開発を中止しなければ武力行使を行うと西側諸国に最後通牒を突きつけられたワディア共和国の将軍様アラジーンはニューヨークに向かうが、側近の陰謀により、ヒゲを剃られてニューヨークの路上に捨てられてしまう。さて、アラジーンの運命はいかに!?というお話。
あらすじを書いてみたらなんかシリアス話のようにも読めますが、サシャ・バロン・コーエンが主演なので下ネタ、差別ネタ、不謹慎ネタ満載のコメディです。オープニングで「金正日を偲んで」とテロップが出てきます。
アラジーンの外見はご覧のとおりリビアのカダフィをモデルにしています。美女のボディガードを侍らせているのもカダフィのオマージュですね。ミニスカの制服とベーレ帽から垂れる長い髪がたまりません。アラジーンはサングラスをかけているとなんだかダンス☆マンに似ている気がする。
アラジーンが自分の部屋で任天堂の任天堂Wiiのコントローラを振り回してゲームをやっているシーンがあるのですが、カメラがゲームの画面に切り替わると拷問のゲームをやっているというシーンがありました。アラジーンは次に1972年のミミュンヘンオリンピック事件のゲームを始めようとしていました。ちょっと捻ったギャグも多いのですが単純な下ネタも多く、最初から最後まで笑いっぱなしです。
ニューヨークの路上に捨てられたアラジーンは自然食品のスーパーを営むゾーイに拾われて、普通の人間の生活を学んでいきます。オナニーの快感もゾーイに教えてらいます。ゾーイとスクーターに二人乗りシーンは『ローマの休日』のオマージュかパロディなんでしょうか?そういえばクライマックスはアラジーンの演説でした。これはチャップリンの『独裁者』も意識していると思います。演説の内容は現在のアメリカへの皮肉というか批判になっていて、ここだけ唯一シリアスでした。
ゾーイ役のアンナ・ファリスは『ブロークバック・マウンテン』に出ていたそうなんですが、全く記憶にありません。『ブロークバック・マウンテン』にて出ていた女優はアン・ハサウェイとミッシェル・ウィリアムズしか記憶にありません。
アラジーンを嵌めるタミル役は『ヒューゴの不思議な発明』でジョルジュ・メリエスを演じていたベン・キングズレーでした。『ヒューゴの不思議な発明』にはサシャ・バロン・コーエンも出ていました。
サントラは中東のポップスみたいな曲ばかりが使われていました。例外はマービン・ゲイの『Let's Get It On』と布袋寅泰の『キル・ビル』に使われていた曲くらいでした。『キル・ビル』の曲の使い方はニヤリとさせられました。シーン自体は大爆笑です。
町山智浩の解説の半分は金正日ネタでした。もちろん笑えました。アラジーンとナダルがニューヨーク上空のヘリコプターのクルージングで同乗していたアメリカ人の老夫婦にテロリストと勘違いされるシーンがあります。このシーンでアラジーンとナダルは喋っているのはアラビア語ではなくヘブライ語と町山智浩は解説していました。私はエドワード・ノートンが本人役でチラッとでていたのがよく分からなかったので、その辺を教えて欲しかった。公式サイトの有名人のコメントの中にデビ夫人のコメントがあったのも笑えました。
全然、関係ないけど、競馬の種馬でノーザンディクティターという馬がいたのを思い出しました。直訳すると「北の独裁者」ですね。まさに金日成、金正日が頭に浮かびます。ノーザンディクティターとはノーザンダンサーの直仔なので期待されていたと思うのですが、GⅠを勝つ馬は出せませんでした。母の父としてはウメノファイバーがオークス勝っています。