ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

『コミュニケーションは、要らない』を読んだ

押井守の『コミュニケーションは、要らない』を読んでみました。 押井守によるツイッターフェイスブックを始めとするSNSやインターネットにど全否定の本かと思って読んでみたら、3.11や福島第一原発の事故を通して日本人とは何かを改めて考えなおしてみたという内容になっています。 SNSに関する部分はそれほど面白くありません。面白いのは原発に関する部分です。押井守はハッキリと原発推進派だと明言しているところはさすがです。今まで原発を推進してきた読売グループの庇護のもとにある宮崎駿スタジオジブリ脱原発の姿勢を見せたことを批判しているのはある程度予想はできましたが、やはり驚きました。 読売は1957年にウォルト・ディズニーが制作、出演した原発推進プロパガンダ映画『Our Friend the Atom』を日本で公開したそうです。この映画ちょっと見てみたいですね。「読売中興の祖」、「巨怪」として知られる正力松太郎原子力委員会の初代委員長です。 震災当日に帰宅難民になった押井守は、東京が空爆されたら、クーデターが起こったらということを考えていたそうだ。常に戦争、軍事という事を頭に置いている押井守の考え方は独特で面白いですな。 以前、押井守岡部いさくの対談本『戦争のリアル』という本を読んだことがあるのですが、「軽空母やヘリ空母は災害時にも役立つので数を揃えるべき」と押井守は言っていました。今回の本でも同じ事を言っています。震災の時はアメリカ軍の空母お世話になっていましなぁ。 国防の面で核武装の可能性をゼロにしないため原発は必要と言う保守派の人は良くいますが、押井守非核三原則原発政策の矛盾についても詳しく説明してくれています。福島第一原発の事故は第三の原爆だとハッキリと書いています。 本筋とはあまり関係ないとこもけっこう面白いですね。特に『うる星やつら』を巡る原作者である高橋留美子について語っている部分は楽しめました。『めぞん一刻』は五代くんが響子さんを押し倒せば話は終わると、宮崎駿も言っていたと書いているのは笑えました。そう言えば『ビューティフル・ドリーマー』のブルーレイは発売日まで決まっていたのに発売中止になりました。理由は未だにはっきりしていません。 選挙には一度も行ったことがない話から、選挙権を得るにはそれなりの資格が必要でローマ帝国では戦争に行くことで市民権を得て選挙権を持つことができたと書いているところは、『スターシップ・トゥルーパーズ』に出てくるラズチャック先生の授業を受けているみたいでした。 外国人参政権にも反対しているし、この本を読む限りでは押井守は保守、右よりな考えの人かと思えますが、押井守はそんな単純な人ではありません。学生運動もやっていたことがあり、その辺のこだわりは押井守の作品の中にもけっこう反映されています。『うる星やつら』のメガネたちのセリフには学生運動のパロディがよく出てきます。『パト2』では「不正義の平和だろうと、正義の戦争より余程ましだ」なんてセリフも出てきていました。 コミュニケーションは、要らない (幻冬舎新書)
コミュニケーションは、要らない (幻冬舎新書)