イラン人芸人のエマミ・シュン・サラミが書いた『イラン人は面白すぎる!』を読んでみました。
エマミ・シュン・サラミについてはTBSラジオの『メキキの聞き耳』に出演しているのを聞いて知りました。一般のイラン人の生活を面白おかしく、かなり誇張も加えて語るエマミ・シュン・サラミま巧みな話術に一瞬で心を奪われました。
エマミ・シュン・サラミを知った同じ時期にイランのインディーバンドの姿を描いた『ペルシャ猫を誰も知らない』という映画も公開され、この映画も見ました。
そして、なんとエマミ・シュン・サラミが新書を書いたと『メキキの聞き耳』で言っていたので、読んでみた次第です。
本当に『イラン人は面白すぎる!』は面白すぎます。ラジオでは紹介していない(できない?)、イラン人の生活習慣やモノの考え方、アラブとイランの関係などが異常なサービス精神で書かれています。
ラマダン(イスラム今日の断食月)の時にはテレビでは料理番組が放送されなくなるというのは納得できますが、アニメのアンパンマンの顔にモザイクがかかるというのはいくらなんでもネタだと思います。この本には、この手のネタがいたる所に仕掛けられていて、何度も笑ってしまいました。イラン人は基本的にボケまくりの民族と書いてありました。
全部が全部、ボケまくりの本かというと、普通にまともなことを書いてあるところも大きな魅力の一つです。イスラム社会の男尊女卑の考え方や法律、特に死刑に関する部分は非常に重たい内容になっています。サラミくん自身は男尊女卑をなくして、女性の社会進出が明日のイランを作る鍵と書いています。
イスラム教のシーア派とスンニ派の違い、イランとアルカイダの関係なども分り易く解説されています。イランはシーア派で、イスラム教の中では少数派だそうです。戒律はスンニ派の厳しく、お祈りの回数が日に5回、シーア派は3回だそうです。アルカイダとイランは敵対関係にあるというのも初耳でした。
イランのサッカー事情についても詳しく書かれています。男子だけでなく、女子サッカーにつていも書かれていて、イスラム教独特のユニフォームの写真も掲載されています。
しかし、サラミくん自身はサッカーよりも野球の方が好きなようで、この本でも一夫多妻制の説明に投手のローテーションを例えにしたり、野球を例にした記述がけっこうあります。ラジオでも以前、巨人の入団テストを毎年受けに行っていると話していました。イラン人を父に持つダルビッシュについてどう思っているのかも聞いてみたいところですね。
最後の方で、大量破壊兵器を保有しているとい理由でイラクに攻め込んだアメリカこそ世界一大量破壊兵器を保有しているというツッコミがは想定の範囲内でしたが、リビアのカダフィ政権がNATOの軍需介入によって倒されたことに違和感感じているという視点にちょっと驚きました。
この本には載っていませんが、『別離』というイラン映画がアカデミー賞最優秀外国語映画賞を獲ったこと関して、ラジオでイラン人家庭の日常を描いた映画はそんなに面白くないといっていたのが印象的でした。