ぶら~りネット探訪

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『IT’S TOO LATE~ザ・ピーナッツ・オン・ステージ』を聞いた

恋のバカンス』や『恋のフーガ』などのヒット曲で知られる双子の歌手「ザ・ピーナッツ」の姉、伊藤エミさんが6月15日に亡くなっていたといニュースを耳にした時は、「フ~ン、沢田研二と結婚していたほうだったけ?」くらいしか思いませんでした。

TBSラジオ荒川強啓 デイ・キャッチ!』で山田五郎が「ザ・ピーナッツはただのアイドルではない!」と熱く語っていて、その中でこの『IT’S TOO LATE~ザ・ピーナッツ・オン・ステージ』というライブアルバムを紹介していました。キング・クリムゾンの『エピタフ』をザ・ピーナッツが歌っているという話に驚き、CDを買って聞いてみることにしました。

早速、『エピタフ』から聞いてみました。重くて暗くて鎮痛でそれでいて劇的な『エピタフ』をザ・ピーナッツは見事に歌い上げていました。オリジナルは8分52秒ですがザ・ピーナッツ版は5分45秒で若干コンパクトになっているのと、完璧な二人のハーモニーがさらに深みと劇的な曲調を増幅しています。宮川泰の編曲とバックバンドの高橋達也と東京ユニオンの演奏も素晴らしい!

『エピタフ』だけでなく、このCDに収録されている洋楽のカバーはどの曲も素晴らしい出来になっています。『バック・オブ・ブガルー』はリンゴ・スターの曲で、私はこのCDで初めて知りました。オリジナルはロックな曲調、アレンジなのですがこのCDではファンク、R&Bぽいアレンジになっています。全体をとおしても、バンドにはホーン・セクションがいてファンキーなアレンジがところどころで目立ちます。

『ポップス・タイム・トンネル』はエルビス・プレスリーポール・アンカコニー・フランシスなどの50年代のポップスのメドレーです。曲の前に岸部シローのMCが聞けます。「70年代のナウなサウンドの原点を探し出す」というセリフがとても気になりました。「ナウ」という言葉は70年代から使われていたのに驚きました。「ナウ」という言葉は80年代から使われ始めたと思っていました。

『ポップス・タイム・トンネル』は曲によって歌詞が英語と日本語訳詞がチャンポンになっているところが良いですね。特に『監獄ロック』の日本語の歌詞が素晴らしいですね。メドレーの最後をロネッツの『ビー・マイ・ベイビー』でしめるところも良いですね。

プラウド・メアリー』の間奏や『東京の女~サンフランシスコの女~リオの女』の後にザ・ピーナッツ自身のMCも聞くことができます。二人の喋り方は今聞くと、凄く時代を感じさせます。昔の水商売の女性のような喋り方みたいな感じですね。友近がやっている「水谷千重子」の喋り方にちょっと似ているかも。

もちろん『情熱の花』、『ふり向かないで』、『ウナ・セラ・ディ東京』、『恋のフーガ』などのザ・ピーナッツの代表曲も聞けます。『情熱の花』はラテン風なアレンジになっているのが小洒落ていていですね。余談ですが宮川泰の息子の宮川彬良は『マツケンサンバⅡ』を作曲しています。

ジャケットの二人の衣装はピチカート・ファイヴ時代の野宮真貴かと思いました。もちろんピチカート・ファイヴサウンドやファションは50年代、60年代(ポップスやロックだけでなく歌謡曲も)のオマージュなんですが。小西康陽によるザ・ピーナッツのリミックスも聞きいてみたいものです。

ジャケットに「昭和フォーティーズ」と書かれているのも非常に気になりました。「昭和40年代」をナウな感じにしたいという意図だと思うのですが、この言い回しは定着していませんね。「昭和フィフティーズ」、「昭和シックスティーズ」とは言いませんからね。

とにかく色々部分で楽しめるCDでした。ありがとう、ザ・ピーナッツ!そして、伊藤エミさんのご冥福をお祈りします。

IT’S TOO LATE~ザ・ピーナッツ・オン・ステージ
IT’S TOO LATE~ザ・ピーナッツ・オン・ステージ