ぶら~りネット探訪

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『亀渕昭信のロックンロール伝~16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした』を読んだ

オールナイトニッポンの伝説のDJにして、元ニッポン放送元代表取締役社長の亀渕昭信による『亀渕昭信のロックンロール伝~16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした』を読んでみました。 表紙の亀渕昭信の写真はどう見てもドナルド・フェイゲンの『The Nightfly』のジャケットのパロディに見えます。しかし、この本にはドナルド・フェイゲンスティーリー・ダンの話は載っていません。タイトルはロックンロール伝となっていますが、1949年にRCAが45回転のドーナツ盤を発売した頃から、ロックンロールの誕生、エルビス・プレスリーエディ・コクランのロックンロールの全盛期を中心にビートルズの解散辺までを扱っています。基本的にはビートルズ以前のロックンロールに重きをおいた内容となっています。 ドーナツ盤(EP)というハードと言うかメディアとロックンロールというソフトを同時に語っていくという所が非常に珍しく、この本の面白いところです。ドーナツ盤はLP盤よりも後に発売されたというのはこの本で初めて知りました。コロンビアが先にLP盤を発売し、それに対抗するかたちでドーナツ盤(EP盤)が発売されたそうです。当時はコロンビアとRCAはそれぞれ、CBSNBCという放送局も持っているメディアコングロマリットだったのですが、コロンビアレコード(CBSレコード)もRCAレコードもソニー・ミュージックの傘下になっています。 ブルース、カントリー&ウェスタンリズム&ブルースがロックンロールに繋がっていったという話はなんとなく知っていましたが、この本ではその辺がかなり掘り下げて語られています。黒人が歌ったていたR&Bの直接的な性表現を抑えたり、ビートや歌い方をソフトにし、白人がカバーしたものがロックンロールの原型の1つで、黒人のように歌う白人の完成形がエルビス・プレスリーだったようです。エルビスの代表曲の1つ『HOUND DOG』も元はR&Bだったそうです。 「ロックンロール」という言葉を発明したDJのアラン・フリードの話も非常に興味深いものがありました。R&RやR&Bという言葉産んだ伝説のDJはペイオラ事件に巻きこまれ、失脚し、悲劇的な最後を遂げていたのはショックでした。ペイオラ事件とはレコード会社がDJに賄賂を送って、レコード会社が売りたい曲をDJにかけさせていた事が発覚した事件。アラン・フリード自身はペイオラに関わったことは認めていないそうです。ちょっとケースは違いますが、メジャーリーグブラックソックス事件赤狩りのときのハリウッド・テンを思い出します。 LPとドーナツ盤の戦いだけでなく、音楽出版社著作権に関する話についてもかなり詳しく書かれているのもこの本面白いところです。ミュージシャンがレコード会社や音楽出版社にいいように搾取される話を読むと、音楽や芸能という世界がちょっとカタギではない世界だということが分かります。吉田豪の『バンドライフ』などを読むと日本でもつい20年位前のバンドブームの頃でも同じような事がけっこうあったような事がかかれていました。 『ドーナッツ盤に恋をした』という言い回しは、ナイアガラ・トライアングル Vol.2の『A面で恋をして』を思い出します。『A面で恋をして』中でもドーナツ盤という言葉が出てきます。この本ではフィル・スペクターやチャビー・チェッカーなど大瀧詠一に影響を与えたミュージシャンが多く登場します。 「あとがき」にはこの本を元にしたコンピレーションCDもあると書かれていました。この本はスタジオジブリが出している『熱風』という雑誌に連載されていたものをまとめたものだそうです。 亀渕昭信のロックンロール伝~16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした
亀渕昭信のロックンロール伝~16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした