ぶら~りネット探訪

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コーエン兄弟の『シリアスマン』を見た

コーエン兄弟の脚本、監督、マイケル・スタールバーグ主演の『シリアスマン』を見ました。 この映画はアメリカでは2009年に公開された映画で、日本では今年になって、同じコーエン兄弟の『トゥルー・グリッド』とほぼ同時に公開となりました。 1月に町山智浩さんが『小島慶子 キラ☆キラ』でこの映画を紹介していました。1967年ミネアポリスユダヤ人コミュニティが舞台になっています。マイケル・スタールバーグが演じる大学教授のラリー・ゴプニックに様々なトラブルが巻き起こり、不幸のズンドコに落ちて行くというコメディ。 ユダヤ教について基礎知識やジェファーソン・エアプレイン『Somebody to Love』の歌詞については町山さんの解説を聞いていたので割とスンナリ理解できました。この辺の知識がなくても基本的には笑える作りにはなっていますが、予備知識があった方がより楽しめると思います。 クソ真面目な男であるラリーが特に何か悪いことをしたわけではないのに、次々に不幸に見舞われる姿は爆笑という程ではありませんが笑えます。次々にやって来る不幸がの微妙な所がこの映画の肝で、この辺が笑えるかどうかでこの映画に対する好みが分かれるところだと思います。ラリーの家に居候している無職の兄アーサーがノースカロライナで男娼をしていたために逮捕され、自宅に戻ってくるシーンはバカうけでした。 ラリーは次々に起こる不幸に悩み、地元のユダヤ教の指導者のラビの所に相談に行きますが、明確な回答は得られません。2人目のラビの話してくれた歯医者の話にはスクリーンの中のラリー同様に私も非常に引き込まれましたが、その話には明確なオチや意味がありませんでした。投げっぱなしというか宙吊りというか、何とも言えないスッキリとこないところはこの映画全体にもあります。ちなみに歯医者のエピソードでかかっている曲がはジミ・ヘンドリックスの『Machine Gun』です。 ジェファーソン・エアプレインの『Somebody to Love』については思わぬところで伏線が回収されます。このシーンはお見事といった感じでニヤリとしまた。ジェファーソン・エアプレインは『エンジェル・ウォーズ』でも『White Rabbit』がカバーですが使われていました。 冒頭の昔話やラビの話では「起こってしまったことはしょうがないので、全て受け入れろ」みたいなことを言っています。私は落語の『天災』という噺をふと思い出しました。『天災』で心学者の紅羅坊名丸は短期でケンカ早い八五郎に対して、突然、大雨が降ってきてズブ濡れになっても、通りで水をまいていた丁稚に水を掛けられても、瓦が屋根から落ちてきても、天のしたこと、天災だと思って諦めろと諭します。『シリアスマン』のラビと『天災』の紅羅坊名丸もなんだか言っている事が似ているような気がします。ラリーと八五郎のキャラクターは正反対なんですが。そう言えば、離縁状が云々という所も『シリアスマン』と『天災』は似ています。 この映画は有名な俳優は一人も出てきません。しかし、出てくるキャラクターが強烈なのか、役者自体も個性が強いのか、どの役者もみな印象に残りました。特に印象的だったのはラリーの13歳の息子のダニー。授業中にトランジスタラジオをイヤホンで聞いていたり、マリファナを吸ったり、ラリーのカードでロックのLPを通販で買ったり、とんだボンクラぶりがたまりませんでした。 個人的には『トゥルー・グリッド』よりも『シリアスマン』の方がお勧めです。 A Serious Man
A Serious Man