ぶら~りネット探訪

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『冷たい熱帯魚』を見た

園子温監督の『冷たい熱帯魚』を見ました。

テアトル新宿では立ち見が出るほどの盛況で、良い評判も聞いていたので、かなり期待していたのですが、予想以上に面白い映画でした。

身も蓋もない言い方をすれば「エロ・グロ・ナンセンス」な映画です。セックスとバイオレンスそして笑いの映画と言ってもいいかもしれません。凄惨なシーンがかなりありますが、思わず笑ってしまうようなシーンも多く、劇場に何度も笑いの渦が起こることがありました。

主役は吹越満ですが、色々なところで言われているようでんでんの怪演ぶりがとにかく凄いことになっています。この映画のチラシにはでんでんの怪演ぶりについて『羊たちの沈黙』のレクター博士を引き合いに出していますが、私は『時計じかけのオレンジ』のアレックスや『ダーク・ナイト』のジョーカーを思い出しました。

しかし、でんでんが演じる村田幸雄がアレックスやジョーカーと決定的に違うのは普通にそこらにいそうなオヤジということです。そこらにいそうなちょっと押しの強いオヤジが人の心を自由に操り、弄んでいく様子は実にリアルで怖くて面白い。特に諏訪太朗が演じる吉田さんを嵌めていくシーンの村田の見事な詐欺師ぶりが素晴らしかったですね。『”冷たい熱帯魚”の村田幸雄ちゃんに学ぶ人心掌握術』みたいな新書を出したら面白いと思います。

村田幸雄の妻の愛子を演じていた黒沢あすかという女優さんは初め見たのですが、この人も良かったですね。最初の方は、ちょっと演技が臭く過剰な感じでしたが、途中からまったく違和感がなくなり、逆にグングン引きこまれていきました。特にでんでんと二人で死体を解体している時の活き活きとした表情とでんでんとの他愛もない会話が印象的でした。

上映時間が146分もありますが、『愛のむきだし』同様に全く長く感じることはありませんでした。たいていの映画は半分くらい来ると着地点がだいたい分かってくるものですが、この映画は最後までどうなるか全く分かりませんでした。

実際にあった埼玉愛犬家連続殺人事件をモチーフにしていますが、あくまでも埼玉愛犬家連続殺人事件はモチーフで映画は途中から全く違う展開になります。「社本くん、ちょっと痛い」以降の展開についてはネットのレビューなどを見ると否定的な見方も多いようです。2ちゃんのスレでは社本が村田にメガネを飛ばされた後の展開は社本の妄想ではないかという見方もされていました。

私はこの映画のモチーフとなった埼玉愛犬家連続殺人事件についてはリアルタイムで知っています。『社会派くんがゆく!』や北尾トロの裁判傍聴記でもこの事件は取り上げられてたのを読みました。この事件の主犯の二人が経営していたペットショップの名前は「アフリカケンネル」で「~ケンネル」という言葉を私はこの事件で初めて知りました。私は町で「~ケンネル」というペットショップの看板を見るとこの事件を思い出してしまいます。