ぶら~りネット探訪

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『息もできない』を見た

ヤン・イクチュン監督の韓国映画『息もできない』を銀座のシネパトスで見ました。地下鉄が通るとゴトゴト音がするシネパトスで見ました。 シネパトスで映画を見るのは『シベリア超特急2』の舞台挨拶を見に行ったとき以来でした。あのときは、もちろん水野晴郎先生は元気だったのですが、水野先生の愛人?のぼんちゃんの姿は大人の事情で見ることができませんでした。(『シベ超2』にもぼんちゃんは出演していません) ヤン・イクチュン監督も水野先生と同じように『息もできない』で製作、監督、脚本、主演をこなしています。『息もできない』は2010年のキネマ旬報の外国映画ベスト・テン第1位、一方『シベ超』は知る人ぞ知るカルト映画という違いはありますが、映画の作られ方としては共通する部分も少なからずあります。 『息もできない』は宇多丸さんも高く評価していて、2月12日のタマフルには来日したヤン・イクチュン監督のインタビューが放送されていました。私はヤン・イクチュン監督のインタビューを聞く前にこの映画を見ました。 DVを働く父親のもとに育ったチンピラのヤン・イクチュン演じるサンファンと似たような境遇の女子高生ヨニの心の交流を描いた映画。荒んだサンファンの心がヨニとの出会いから徐々に変わり、人間らしさを取り戻していくというお話。 話の基本構造はメロドラマのような感じですが、暴力描写やサンファンとヨニの日常生活の悲惨な部分がリアルに描かれているので見る人を選ぶ映画に思われます。暴力描写はいろんな所でも既に言われているように初期の北野映画の影響が見えます。タマフルのインタビューでもそのことに触れていましたが、ヤン・イクチュン監督は明確な回答はしていませんでした。 暴力の連鎖をテーマにしている部分はクリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』を思い出しました。『グラン・トリノ』の場合は民族間の問題を扱っていて、『息もできない』の場合は家庭内の問題をメインに描いているというところが大きく違うわけですが。 私は130分という上映時間が気になりました。よく言えば、丁寧な作りの画ですが悪く言えば無駄に長い感じですね。もう少しテンポよく話を展開して欲しかったです。前半が長くて、けっこう退屈してしまいました。サンファンがヤクザな仕事から足を洗おうと社長のマンシクに話をしてからラストに向けての怒涛の展開は疾走感がありました。暴力の連鎖をうかがわせるラストシーンも衝撃的で良かったと思います。 社長のマンシク役の役者が電気グルーヴピエール瀧によく似ているのがどうしても気になりました。ヒロインのヨニを演じるキム・コッピは多部未華子黒川智花をたしてマッコリで割ったような感じでした。しかし、何よりもヤン・イクチュン監督がサンファンを演じているときと素の顔が全く違うといのが、一番の驚きでした。 息もできない [DVD]
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