ぶら~りネット探訪

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『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』を読んだ

タマフル』で宇多丸さんが勧めていたので読んでみました。 著者の坂口恭平は建築家ですが、既存の建築に違和感を持ち、ホームレスのダンボールハウスに注目するうちに彼等の生活にまで深く取材するようになりこの本が生まれたようです。 「都市型狩猟採集生活」とはホームレス生活のことです。この本を読んでいて思い出したのは吾妻ひでおの『失踪日記』です。この本は『失踪日記』よりも具体的なホームレスガイド、ホームレス入門になっています。 ホームレスの衣食住、そして仕事について具体的に書かれています。著者が建築家で、ダンボールハウスから興味を持ったことから、「住」の部分に多くページが割かれています。衣類や食事は割と簡単に<都市の幸>として手に入るようです。 私がこの本で一番面白く感じたのは、「住」よりも仕事、「生業を手にする」というところです。ホームレスが収入を手にする手段としては「アルミ缶拾い」がすぐに頭に浮かびますが、それ以外にも、「貴金属拾い」、オモチャやゲーム、時計などの「小物拾い」、「電化製品拾い」などがあるそうです。 「貴金属拾い」はゴミの中からプラチナ、金、真珠を拾うことで、これだけでコンスタントに月収が10万円を超えるそうで,稼ぐ人は20~30万稼ぐそうです。あくまでもゴミ漁りですが、「貴金属拾い」をする人の身なりはそれなりにキレイで、ゲン担ぎで光モノを必ず身につけているそうです。坂口恭平のイラストの「貴金属拾い」はナイキのキャップ被って光モノのネックレスをして携帯(プリペイド携帯は必需品)持っているので、なんだかヒップ・ホップのアンチャンみたいに見えます。 山谷のドヤ街で行われている「ドロボウ市」についても書かれています。台東区泪橋交差点の近くだそうです。泪橋と言えば『あしたのジョー』の世界ですね。 変わったところでは新宿の中央公園には「アルミ缶拾い」をしている4人の友人のための食事を作る「賄い夫」を生業としている人がいたり、名古屋の白川公園には馬の顔を見ればコンディションがわかるYさんは競馬新聞に予想を売っているそうです。 多摩川ロビンソン・クルーソーの話も面白く感じました。この人は家の立ち退きをきっかけに犬と暮らすために多摩川の河川敷で暮らすことをした人でした。この人は柿、栗、梅、筍を育てたり自分でドブロクを作ったりしています。 代々木公園に住む禅僧のようなホームレスは財布を持っていません。炊き出しのおにぎり2個で二日過ごせるそうです。しかし、靴はなぜか教会で貰った新品のアディダス。この人は、こんな生活は資本主義だからこそできること、お金持ちと貧乏人というヒエラルキーができて、貧乏人はかわいそうだってことで助けてくれる人が出てくると言っています。 最後の章は坂口恭平の子供のころから建築家を目指すまでの話や既存の建築へ違和感や60年代カルチャーに衝撃を受けたことや鴨長明の『方丈記』について書かれています。そして隅田川でのソーラー0円ハウスとの出逢に繋がつていきます。正直、小難しいく理屈ぽい感じでホームレスの生活に注目することへの言い訳みたいな感じになっていて、少し残念な感じですね。 そんな事より、「おわりに」に書かれている、「人間、どんな状態になっても、ぜったいに生きていける」と言うホームレスの言葉が重いですね。 ゼロから始める都市型狩猟採集生活
ゼロから始める都市型狩猟採集生活