ジャマイカのドラムとベースのコンビ、スライ&ロビーによるレッド・ツェッペリンのカバーアルバム『グリーツ・レッド・ツェッペリン』を聞いてみました。このアルバムは2007年にリリースされたアルバムです。
私はレッド・ツェッペリンのオリジナルアルバムはとりあえず全部聞いています。スライ&ロビーについてはあまり詳しくはありません ミック・ジャガーのソロアルバムなどに参加していたのと、オハイオ・プレイヤーズの『ファイヤー』をカバーしていたのを聞いたことがあるくらいです。
スライ&ロビーと言うとレゲエのイメージがありますが、このアルバムに収録されている曲で典型的なレゲエのアレンジで演奏されているのは『D'yer Mak'er』だけで、他の曲は今風なR&B的なアレンジになっています。
『Whole Lotta Love 』や『Heartbreaker』などの印象的なギターリフのある曲は、ツェッペリンの曲であることはすぐに分かりますが、『Going To California』、『Thank You 』といった曲は原曲を知らない人が聞いたら元がツェッペリンとは思えないくらい爽やかな仕上がりになっています。(ボーカルが女性であるというのもありますが)
『In The Evening』はオリジナルのギターリフの代わりにダンスホール・レゲエのギターリフやMCが入っていて、全く違う曲に聞こえます。
『Kashmir』はリフや歌メロは割と原曲に忠実なのですが、当然のことながらリズムがオリジナルとは異なるため、これもオリジナルとは全く違った感じに聞こえます。オリジナルはギターのリフとドラムを核として、管楽器や弦楽器も加わった重厚で荘厳なものに仕上がっているのに対して、スライ&ロビーのバージョンは踊れて、そしてコンパクトな『Kashmir』に仕上がっています。
アルバム全体を通し聞くと、リズムのアレンジの重要性を感じます。リズムの解釈の違いでここまで曲の印象が変わるのかと言うほどオリジナルとの違いが出ているが非常に楽しいアルバムですね。ツェッペリンの原曲のメロディーの良さも再認識させられました。私はカバーアルバムやトリビュート盤はけっこう好きで色々と聞いているつもりでしたが、これは本当に驚きました。
全体に非常に爽やかなサウンドに仕上がっているので「ツェッペリンはよく知りません」という人にも抵抗なく聞けて、気持ちのいいアルバムです。
余談ですが、90年代初めにツェッペリンをレゲエ風のアレンジでカバーし、エルビス・プレスリーのモノマネのボーカルが歌う ドレッド・ツェッペリンというバンドが存在しました。私もファーストアルバムを持っています。ドレッド・ツェッペリンは非常に色物ぽいバンドでした。そして、レゲエといっても基本的にロックバンドがやっているレゲエなので、あくまで「レゲエの風のツェッペリン」という感じでした。
グリーツ・レッド・ツェッペリン