ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

元力士の結婚詐欺師に懲役9年の判決

日刊スポーツによりますと、1級建築士を装い、改装費現金計約6500万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた大相撲の元幕下力士の無職秋本久雄被告(44)に、東京地裁は28日、懲役9年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。

私はこの判決は何度か傍聴したことがあります。判決の言い渡しも見ました。被告人はスキンヘッド。身長は180㌢ちょっとくらいで、体重は130㌔くらいに見えました。さすがに元力士で、体の幅は横に座っている刑務官の2倍くらいに見えました。頭がスキンヘッドで眉が濃くはっきりした顔立ちなので、元プロレスラーのストロング金剛(小林)みたいな感じにも見えました。

この人は元力士ですが、番付は幕下までで関取にはなれなかったそうです。春日野部屋に入門した直後に後援会ができたそうで、逆にそのことが原因で兄弟子たちにのイジメにあって部屋を飛び出していると語っていました。

この被告人は20代、30代のときにも結婚詐欺を働いていて、プロの結婚詐欺師と言った方がいいような人でした。 相手の女性だけでなくその女性の母親からも結婚後に住む家の新築費用と言って金を騙し取っていたそうです。被害者の中には借金をしてまで被告人に金を渡した人もいたそうです。

被害者の多くは複数回、最低でも10万単位で金を被告人に渡していて、100万単位で金を渡すことが多かったようです。日刊スポーツの記事にもあるように建築士としての仕事のために金を貸してくれという話が多かったようですが、高校時代の恩師が亡くなったので高知(被告人は高知の明徳義塾出身)までの旅費と香典代を貸してほしいとか、知人に子供が生まれたので出産祝いの金を貸してほしいとか、朝青龍と会食をするので食事代と祝儀代を貸してほしいと言って金を騙し取ったこともあったそうです。

そして、被害者から金を絞り取れるだけ絞り取ったら、連絡を絶ち、姿をくらましいたそうです。運よく被告人の電話が繋がった時には、今、癌で入院しているという嘘をついたことがあるそうです。

情状証人として被告人と交際している女性が証言台に立ちました。初めは証人をカモにするために被告人は証人に近づいたそうですが、 証人の別れた元旦那が建築士で被告人のウソは見抜かれてしまったそうです。その後、なぜか普通に付き合いだして今に至るということでした。 証人には発達障害の息子がいるそうで、被告人はその息子の面倒をよく見てくれていたそうです。被告人が出所したらまた付き合いたいと証言していました。ちょっと良い話などもありましたが、検察官は証人に対しては宅下げされた被告人の調書を見ていたのではないか、被告人の行方が分からなくなっている手帳やキャッシュカードは証人が持っているのではないかという質問がされました。証人は調書も見ていないし、手帳やキャッシュカードの行方も知らないと答えていました。

被告人質問での被告人は反省していると語っていました。しかし、手帳やキャッシュカードの行方については分からないと答えていました。検察官の挑発に乗って声を荒げる場面や言葉に詰まって黙り込む場面などがあり、狡猾な詐欺師としての顔は全く伺えませんでした。

被害者の意見陳述では被害者の書いた陳述書を裁判官が読み上げていました。2人の被害者の陳述書が読み上げられたていましたが、二人とも被告人のセレブな生活に惹かれたわけではなく、被告人が演じていた誠実な人柄に惹かれたと語っていました。また、被告人の体型を初めてみた時は驚いて、とても違和感を覚えたそうです。出会いはネットの出会い系だそうで、最初はとにかくメールや電話での押しが強く メールは1日に40通以上来たことがあると1人の被害者は語っていました。力士時代の被告人の取り口は知りませんが、結婚詐欺ではとにかく突き押し一本だったようです。

結婚詐欺と気付いた時にはショックで倒れてしまって、しばらく仕事にも行けなくなったと語っている被害者もいました。また、警察に相談しても、対応が悪く、なかなか捜査に取りかかってくれなかったそうです。借金をしてまで被告人に金を渡してしまった被害者は、未だに借金を返しているそうです。

被告人は口では反省している、二度と罪は犯さないと言っていましたが、私にはどうも言葉だけとしか思えませんでした。それは、被告人が全く被害弁償をしていないという検察官の話があったからです。しかも、前回の結婚詐欺の被害弁償も全くしていないそうです。被害弁償や示談の有無は裁判では量刑を決めるうえで大きな判断材料になるそうです。小室哲哉の裁判で執行猶予がついたのも被害者との示談が成立したこが大きく影響したと言われています。

この被告人は全く被害弁償をしない代わりに、刑務所の中で9年間過ごすことを選択したように見えます。弁護士ももう少し戦術を考えてあげてもいいような気もします。出所したら50を過ぎることになります。被告人は相撲以外でほとんど働いたことがないようです。(知り合いの飲食店を手伝ったことはあるとは言ってはいましたが)この被告人には相撲か結婚詐欺しかないように思えます。

被害者はお気の毒ですけど、被告人のセレブな生活には全く魅力を感じた話ではなく、誠実な人柄に惹かれたというのはどうなのでしょうか?裁判でそこまで見栄を張らなくてもと思ってしまいます。そういえば被害者の意見陳述で被害者のみなさんは被告人からプレゼントは何も貰ったことがないと言っていました。

被告人が演じていた誠実な人柄や経歴には実態がない嘘で被告人が住んでいた高級マンションや身に着けていたブランド物のスーツにはとりあえず実態はあったわけですな。(時計はなぜかニセモノをしていたそうです)被害者は実態のない被告人の嘘に惹かれてしまったわけですね。非常に気になるところは、被害者のみなさんは一時でも幸せを感じたり、夢をみることができたかのか?と言う事です。そんな事は裁判で語る必要は全くありませんが、個人的には一番知りたいところです。

余談ですが伝説の結婚詐欺師を描いた『クヒオ大佐』という映画が現在公開されています。予告は何度か見たことがありますが面白くなさそうですね。クヒオ大佐役が堺雅人というのがミスキャストですな。堺雅人は普通にいい男です。いい男が結婚詐欺師では全く面白みが感じられません。