ぶら~りネット探訪

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「つるこうでおま!」を読んだ

笑福亭鶴光の「つるこうでおま!」を読んでみました。 去年(2008年)の落語家の本と言うと立川談春の「赤めだか」が話題になりましたが、笑福亭鶴光の「つるこうでおま!」も2008年に出版されていてました。内容的になかなか面白い本です。 笑福亭鶴光と言えば何といっても「オールナイトニッポン」、「鶴光の噂のゴールデンアワー」といったラジオ番組のパーソナリティとして有名ですね。私も聞いてました。この本ではもちろん「オールナイトニッポン」についても触れられています。基本的には生い立ちから落語との出会い、6代目笑福亭松鶴への入門、修行時代、「オールナイトニッポン」時代のエピソードまでは時系列に語られていて、それ以降は上方落語についての解説や鶴光の落語観が語られていたり、落語家としての東京での活動、ラジオ以外でのマスコミでの活動なども語られています。 鶴光は実の父親を知らずに育ち、幼いころはおじいさんのところに預けられていたです。そんなときおじいさんは小噺をよく聞かせてくれたそうです。「秋にな、栗と柿が喧嘩していると、栗が"寒い寒い"って言うから柿が、"何言うとんねん、おまえいがいが着て皮着て渋着て、何が寒いの、おれなんか皮一枚やないか"って言うと、隣にいたマツタケが"おれなんかふんどしもせんと丸裸じゃ"」。これはおじいさんが鶴光に聞かせてくれた小噺の一つだそうです。それにしてもこの小噺は鶴光の未来を暗示していて、出来すぎてます。 私がこの本で一番好きなのは鶴光の師匠である6代目笑福亭松鶴との数々のエピソードです。私は上方落語はほとんど知りません。6代目笑福亭松鶴と言うと仁鶴、鶴光、鶴瓶の師匠と言うことと、中島らも「寝ずの番」のモデルになった人というくらいの知識くらいしかありません。後は「らくだ」を得意としていたことくらいですね。この本を読んで「寝ずの番」よりもずっと強烈な人物だったことが分かりました。舞台の袖に借金取りが待っているので雪駄を持って高座に上がり、噺が終わると客席から逃げたというエピソードは昭和の芸人の匂いを感じます。テレビの人生相談の回答者として出演し、嫁姑の問題で相談している嫁に「そのおばんに、死んでもろたらよろしい」と言ってレギュラーを降ろされたり、紫綬褒章をもらった時のインタビューで健康の秘訣を聞かれて、「金玉の裏に、ピップエレキバンを貼ってまんねん」という人を喰ったようなエピソードは素晴らしいですね。中島らも少なからず6代目笑福亭松鶴の影響を受けていたのだと思いました。 松鶴の奥さんが、松鶴松鶴の弟子からも「あーちゃん」と呼ばれていたというのもとても不思議な感じがしました。私は「あーちゃん」というとPerfume 西脇綾香を思い出します。そう言えばこの本では弟弟子である鶴瓶については全く触れていませんね。 この本には付録でCDが付いてます。「袈裟御前」とボーナストラックとして鶴光のラジオでの名ゼリフが入っています。私はこのCDで初めて鶴光の落語を聞きました。以外と言ってはなんですが面白いです。残念なのは「袈裟御前」が地噺というところですね。本格的な鶴光の古典落語が聞きたくなりました。ボーナストラックでは「ええか~、ええか~、ええのか~」や「乳頭の色は?」と言ったお馴染みのフレーズや小噺、あいうえお作文が入っています。 つるこうでおま!(CD付)
つるこうでおま!(CD付)