ぶら~りネット探訪

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「宮廷画家ゴヤは見た」を見た

宮廷画家ゴヤは見た」を見ました。

なんだか邦題が微妙ですね。市原悦子の「家政婦は見た!」を思い出してしまいます。現題は「Goya's Ghosts」ですが、このタイトルもいまひとつピンときません。タイトルにゴヤの名前が入っていますが、ゴヤはあくまでも狂言回し的な役で、ハビエル・バルデムが演じるロレンソ神父とナタリー・ポートマンが演じるイネス・ビルバトゥア(アシリア) を中心に展開していきます。フランス革命、ナポレオンのスペイン侵攻、異端審問など激動の歴史に人々が翻弄されていくお話です。

私は特にゴヤに興味があったわけではなく、監督のミロス・フォアマンに興味があってこの映画を見ました。「カッコーの巣の上で」、「アマデウス」、 「ラリー・フリント」などを撮った監督です。正直、まだ生きていたというのが驚きです。この監督はどうも荒廃した精神病院や牢獄を撮るのが好きみたいですね。 「カッコーの巣の上で」は精神病医院の中の話だったし、「アマデウス」の晩年のサリエリが住む荒廃した養老院がとても印象的でしたが今回の「ゴヤ見た」でもそんなシーンがあります。

この映画はスペインでは2006年、アメリカでは2007年に公開されていて、ハビエル・バルデムは「ノーカントリー」でアカデミー賞助演男優賞)を取る前の作品だそうです。私は「「ノーカントリー」は見ていないのですが、顔も演技も非常に濃いというかくどい感じの役者ですね。ナタリー・ポートマンは2役を演じているのですが、陳腐な言い方になりますが「体当たりの演技」と言う感じです。異端審問にかけられて前と後と娘役のアシリアで3つの役を演じ分けているという見方もできます。イスラエル生まれで本物のユダヤ人であるナタリー・ポートマンキリスト教の異端審問にかけられるという役を演じるというのは悪い冗談にしか思えません。ちなみミロス・フォアマンユダヤ人だそうです。

ミロス・フォアマンキリスト教あるいは宗教というものが嫌いなのでしょう。その一方でフランス革命の後、スペインに侵攻してきたフランス軍とロレンソは自由や平等などという言葉を使ってはいるものの、略奪、暴行、強姦といった狼藉を働く侵略者として描かれてたりします。後半でフランス軍を追い払うイギリス軍に関しても細かい描写はありませんがフランス軍とはあまり変わらないような感じですね。

上映時間が114分なのですが、話の展開が非常に早く、テンポが良くダレるところがほとんど無いのですが逆に色々なものを詰め込みすぎなのではないかと思えたりします。もう少し画家としてのゴヤをクローズアップして欲しい気もしましたが、オープニングやエンドロールでゴヤの作品が延々と大写しになるので、ゴヤについてはあれでいいのかもしれません。