近田春夫の「考えるベスト」を聞いてみました。
近田春夫というと今では週刊文春のコラム「考えるヒット」と「タモリ倶楽部」の音楽企画のときに出演しているというイメージが強く、ミュージシャンというイメージは薄いかもしれませんが、ミュージシャンなんですよ。ジャケットのイラストは「考えるヒット」でもイラストを描いている安斎肇が描いています。
私が近田春夫を知ったのは梅図かずおの「まことちゃん」に本人にとして描かれていたのと、「ムー一族」の夢先案内人「ヘホ」として出演していころかと思います。
近田春夫&ハルヲフォンやビブラトーンズ時代の曲はこのCDで初めて聞いたのですが、なかなかいいですね。パンク、ニューウェーブ、テクノそして歌謡曲が絶妙なバランスでミックスされている感じかします。「ワン・シーン」はブレイクする前のYMOをバックにした「天然の美」というアルバムからの曲で、テクノ歌謡というかたちになっています。この曲は歌詞も面白いものになっています。歌いだしが「ドアを開けたら男がいた」ですから。
President BPMやビブラストーンズとしての活動はほぼリアルタイムで知っていました。President BPMの「MASSCOMMUNICATION BREAKDOWN」と「NASU-KYURI 」で近田春夫と一緒にラップをやっているのは藤原ヒロシと高木完です。藤原ヒロシのその後のブレイクは全く想像できませんでした。日本語でのラップも最近ではメジャーになりつつあるのも時の流れを感じます。
「MASSCOMMUNICATION BREAKDOWN」はほとんどリズムボックスとラップという非常に原始的な構成になっています。平山みきの「真夏の出来事」のリフは使われていますが、あまり効果的な使われ方はされていません。この曲ではストレートなマスコミ批判が展開されていています。近田春夫のような立場でこの曲をやるのは画期的というか、かなりの冒険ですね。「本当のタブーに挑戦してみてよ そしたら僕も応援するから」というフレーズは今でも有効ですね。
ビブラストーンズではターンテーブルやサンプラーではなく、バンド演奏をバックにラップをやるという手法に変わっています。結局のところビブラストーンズの演奏はJB'sの本歌取りみたいな言われ方をしてました。私はブーツィー・コリンズのライブの前座でビブラストーンズを見たことがあるのですが、どんな演奏をしていかは全く記憶にございません。
よく考えたら近田春夫の最大のヒット曲ってザ・ぼんちの「恋のぼんちシート」かジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」ですな。
考えるベスト