ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」を読んだ

堀井憲一郎の「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」を読んでみました。 堀井憲一郎というと週刊文春のコラム「ホリイのずんずん調査」や終わってしまいましたが日テレの「TVおじゃマンボウ」に出演していました。今年の1月からTBSラジオ竹熊健太郎がやっていた「竹熊ラジオ」が竹熊健太郎脳梗塞で倒れてしまったため、堀井憲一郎が代わりに同じ枠で「ずんずん落語」をやっています。「ずんずん落語」がなかなか面白い(私はポッドキャストで聞いています) ので、堀井憲一郎の本はどんなものかと思ってこの本を読んでみました。 「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」は昔、流行ったアニメ、漫画の「謎本」(「磯野家の謎」、「ブラック・ジャック『90.0%』の苦悩」)のような本になっています。しかし、堀井憲一郎が書いているので単純な「謎本」にはなっていません。堀井憲一郎がリアルタイムで「巨人の星」を読んでいた中学生時代の話など織り交ぜながら全体的にユルイ感じで「巨人の星」(漫画版)の世界を分析する本になっています。 大塚英志などが書く「巨人の星論」、「梶原一騎論」みたいなものとももちろん違ったものとなっていています。梶原一騎がやたらに文学、歴史の故事、名句などを引用していたという指摘は面白いですね。梶原一騎の文学に対するコンプレックスみたいなものが透けて見えるような気がします。また、文学、歴史の故事、名句に限らずタクシーでのお釣りの話、酒の飲み方、星飛馬が初めて借りていたマンション(東京タワーが見えるマンション)の話などからも梶原一騎の生き方、ものの考え方が透けて見えるような部分が多数あり、単純に「巨人の星」の研究という部分をはみ出して「梶原一騎研究」になっているような感じがまたこの本をいっそう面白いものにしています。 ちなみに絵の川崎のぼるの絵についても梶原一騎ほどではないですがあります。私は実在の川崎のぼるが「巨人の星」の中で人物(金田正一田淵幸一石坂浩二長嶋茂雄村山実)を描いた絵を集めたページがとても笑えました。村山実はなんだか「空手バカ一代」の大山倍達見えました。「空手バカ一代」は原作は梶原一騎で「巨人の星」と同じですが、画はつのだじろう影丸譲也です。 私がこの本の中で一番面白かったのは、「巨人の星」の中で飛馬が気に入っていた坂本龍馬の「死ぬときはたとえどぶの中でも前のめりに死にたい」という言葉が「巨人の星」以外にはどこにも書かれていないという事実です。「死ぬときはたとえどぶの中でも前のめりに死にたい」というのは「巨人の星」の後半ではかなり重要なキーワードで私もこのエピソードというか言葉は坂本龍馬のエピソードでは有名なものだと思っていました。(恥ずかしながら「坂本龍馬は本当にドブの中で死んだ」と思っていた時期もありました。)しかし、「巨人の星」以外では全く存在しない話だったとは・・・。堀井憲一郎坂本龍馬については司馬遼太郎坂本龍馬についの小説を書く前と後では世の中の坂本龍馬に対する認識が全く違うものと説明していて、このエピソードが単純に梶原一騎の創作、捏造とは言えないと書いています。 『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。
『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。