ぶら~りネット探訪

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「悪役レスラーは笑う―『卑劣なジャップ』グレート東郷」を読んだ

森達也の「悪役レスラーは笑う―『卑劣なジャップ』グレート東郷」を読んでみました。 森達也という人は元々はテレビのドキュメンタリーのディレクターだった人で、オウム真理教を扱ったドキュメンタリー映画「A」なども撮っていた人なのですが最近はノンフィクション作家と言った方がしっくりくる様な気がします。 この本は昭和の悪役プロレスラー、グレート東郷の素顔に迫ろうとしたノンフィクションなのですが、初めはテレビのドキュメンタリーとして撮ろうとしていたものが、新書という形になったもので、テレビの企画としては通らず、新書という形になった経緯もここには書かれています。この本では主にグレート東郷の出自について焦点が当てられていて、母親が中国人という説、朝鮮半島出身という説、既存の日系二世であるという説と著者が追っていくのですが(グレート小鹿グレート草津マサ斉藤上田馬之助桜井康雄等にインタビューをしています)結局、グレート東郷のはっきりした出自については掴めていません。 グレート東郷というレスラーは力道山時代に活躍していたレスラーなので、私は当然知りませんが、梶原一騎原作の漫画や松村友視のプロレス・エッセイなどで、その存在は知っていました。日系二世でアメリカのリングで田吾作スタイルの悪役で活躍し、金には汚かったというイメージがあります。この本を読む限りでは前からあったイメージに大きな変化はありませんでした。(金に汚いというのは接した人によって違いがあったようです) グレート東郷の出自の秘密を追いつつ、日本のプロレスの歴史を遡り、グレート東郷力道山の関係などにもかなり触れていて、朝鮮半島出身の力道山とそれを取り巻いていた当時の右翼や保守系の政治家、ヤクザのネジレた関係についても改めて触れています。この辺のことは既存のプロレス本ではあまり触れられていなかったので、この辺は新鮮に感じました。 著者の森達也が昔、「週刊ファイト」の面接を受けていたという話(結局、森達也は不採用だった)もこの本には書かれていますが、「週刊ファイト」は去年の9月に休刊になり、初代編集長、井上義啓氏も去年の12月13日に亡くなっています。 悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷
悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷