「安野モヨコ対談集 ロンパースルーム」を読んでみました。この本はロッキング・オンの雑誌「H」の連載をまとめたもので2003年に出版されたものです。
安野モヨコの対談の相手は日暮愛葉、及川光博、ローリー、市川実和子、小日向しえ、大槻ケンヂ、よしもとばなな、寺田克也、庵野秀明、井上三太、奈良美智となっています。
全体の印象としては、男性の対談相手の場合は話の内容が仕事、漫画、絵のような具体的なものになっているのに対して女性の対談相手の場合は恋愛観、人生についてなどの抽象的なことについて語られているように感じました。ミッチーとの対談では例外的に抽象的な感じでした。
私としては男性の対談相手の具体的な話の方が面白く感じられました。寺田克也、奈良美智(私はこの二人についてほとんど知りません)との対談での絵についての話が非常に面白く感じられました。また、安野モヨコが漫画家として商業的なものと芸術的なものと(自分の描きたい絵)の間で葛藤している話が興味深く、面白く感じました。そういえば漫画家のインタビューとかこういった話はあまり表にはでてきませんよね。最近ではこの本のようなものがちろほらありますが。
ローリーとの対談ではローリーが大暴走して、安野モヨコがかなり困ってしまっているようで面白いですね。なぜ、ローリーを対談相手に選んだのでしょう?この対談からはローリーと安野モヨコの共通点はほんとんど見つかりません。しかし、あまりかみ合っていない対談ですが、逆そこが味になっています。ローリーが安野モヨコが大切にしている部分、譲れない部分はなにかと訊ねて、「マンガ魂」、「マンガ道」とほとんど無理矢理言わせているところは笑えます。
大槻ケンヂとの対談では安野モヨコの旦那である庵野秀明との結婚前のデートのことを大槻ケンヂが聞いているのですが、おもちゃ屋、古本屋、特撮のロケ地に行ったりしたということを安野モヨコが話しています。これって筋肉少女帯の「おもちゃやめぐり」という曲の歌詞そのまんまだなぁと思いました。
対談相手との安野モヨコとのツーショットの写真や安野モヨコが描いた対談相手のイラストも載っていて、特にイラストは面白いものになつています。庵野秀明はなぜか信楽焼きのタヌキのように描かれています。