町山智浩の「映画の見方がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀」を読んでみました。
この本で取り上げられている映画とその監督は以下のようになっています。
私がこの中で見たことのある映画は「ターミネーター」と「ロボコップ」と「ブレードランナー」だけですが、ジョー・ダンテとテリー・ギリアム以外の監督の作品は見ています。
私は長年の疑問だった「ブレードランナー」のソバ屋のオヤジの「2つで充分ですよ」、「わかって下さいよ」という台詞の意味がこの本でわかりました。これは脚本が何度も書き直されたり、編集が何度もやり直された結果、肝心なハリソン・フォードの食べる丼を写したシーンがカットされたため、意味が分からなくなったためということでした。何が「2つで充分」なのかはこの本を読んでのお楽しみ。
この本は単純に取り上げられている各映画の評論、裏話みたいなものを書いただけでなく、その映画監督の生い立ちから映画監督になって成功するまでも丁寧に書いていて、他の作品についもかなり詳しく書かれた、立体的にな構成になっています。特にポール・ヴァーホーヴェンのオランダ時代にとった映画についはかなり詳しく書かれていて、非常に面白く感じました。
私はオリバー・ストーンの映画はあまり好きではないのですが、この本で書かれているオリバー・ストーンがベトナム戦争に出征した話はポール・ヴァーホーヴェンの「スターシップ・トゥルーパーズ」の主人公のような感じで笑えました。(裕福なお坊ちゃんが政府のプロパガンダをそのまま鵜呑みにして戦争に行くという部分が似ているように感じました)
ジェームズ・キャメロンの話はある意味、彼の撮った映画よりも面白い。映画学校に行く金はなく、独学で映画を学び、ハッタリで映画会社にもぐり込み、下積み時代に信頼を得て、低予算ながら自分の脚本で「ターミネーター」を撮り成功する。まさにアメリカンドリームでそのまま映画にしても面白そうだ。しかし、「世界の中心で愛をさけんだけもの」のハーラン・エリスンに「たターミネーター」は盗作で訴えられて、負けるというオチまでついてる。
町山智浩は「ブレードランナー」以降、映画で描かれる未来のほとんどが「ブレードランナー」のようになっていると書いていますが、ここに書かれていてる原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の話を含めると改め納得してしまいます。日本の漫画、アニメも残念ながら、「ブレードランナー」の影響からは逃れられないようだ。「攻殻機動隊」はジェームズ・キャメロン、「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟に影響を与えたと言われているけど、結局、元ネタは「ブレードランナー」なわけです。
余談ですけど「ブレードランナー」のビルに映る「強力わかもと」の芸者の映像は映画のために撮られたものだそうだ、渋谷の駅前のスクリーンで「強力わかもと」のあの映像が見たいものです。