ぶら~りネット探訪

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吾妻ひでおの『地を這う魚 ひでおの青春日記』を読んだ

吾妻ひでおの『地を這う魚 ひでおの青春日記』を読んでみました。この漫画はタイトルに『ひでおの青春日記』とあるように吾妻ひでおの青春時代を描いた漫画でございます。『失踪日記』以降の吾妻ひでおの漫画の単行本の表紙はオレンジ色が多いような気がしますが、気のせいでしょうか? 1968年、吾妻ひでお青年が印刷工場で働いているシーンからこの漫画はスタートします。しかし、吾妻青年は石ノ森章太郎のアシスタントに採用されたと嘘をついて工場を辞めてしまいます。どうにかこうにか漫画家の「いててどう太郎」のアシスタントに採用され、同じような境遇の仲間達と吾妻ひでお青年は漫画家の道を進み始めるというお話。 大筋では藤子不二雄の『まんが道』などのトキワ荘モノの吾妻ひでお版みたいな漫画です。確かに話自体は貧乏話や仲間達との友情や切磋琢磨していく青年ストーリーですが、この漫画の特徴はキャラクターや絵そのものと言ったほうがいいかもしれません。吾妻ひでおと女の子以外のキャラクターはほとんど全て動物で描かれていています。街には魚が地を這っていたり、魚が空と言うか空中を飛んでいたり、アパートの屋根にタコやイカがいたり、非常にシュールな絵で構成されています。 ロボットなども描かれていたりするので日本の日常風景の中に『スターウォーズ』のキャラクターが徘徊しているような感じとも言えないこともないですが、サイケデリックと言うか、普通の感覚ではなかなか描けない漫画ですね。薬でもやりながら描いているようにも思えてきます。今敏の『パプリカ』のパレードのシーンにも近い感じもします。吾妻ひでおはSF、筒井康隆の影響も受けていると言っていたような気もします。 話の中に出てくる漫画や漫画家はほぼ実名になっています。吾妻青年をアシスタントして雇ってくれた漫画家は「いててどう太郎」となっています。板井れんたろうのことだ思うのですが。犬のようなキャラクターで描かれる「つのだじろう」はニュアンスがよく出ていると思いました。吾妻青年がつげ義春の『ねじ式』を吾妻青年は『ねじたけし』と読んでしまいうエピソードは妙な味わいがあります。 『真夜中のカウボーイ』を見て、ダスティン・ホフマンに憧れた吾妻青年は「ダメで惨めな大人になってみたい」と考え、とりあえず酒を飲んで酔っ払ってみようとします。しかし何度か酒を飲んでも、酒を美味いと感じられず、悪酔いしかしない吾妻青年は「酒はもうやめる」と言っています。この辺の話は以前から知っていましたが、漫画になったものを読んでも面白い。 久しぶりに吾妻ひでおの公式サイトを覗いてみたら、吾妻ひでおTwitterも始めていました。「ひでお日記」やTwitterを見ると最近は多部未華子がお気に入りのようですね。Perfumeの絵は心なしか以前よりも似ているような気がする。福満しげゆきの絵を真似て描いたものも良いですね。 地を這う魚 ひでおの青春日記
地を這う魚 ひでおの青春日記