ぶら~りネット探訪

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TAMAFLE BOOK 『ザ・シネマハスラー』を読んでみた

この本はTBSラジオライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』の映画批評コーナー『ザ・シネマハスラー』を書籍化したものです。 2008年の4月の『カンフーくん』から2009年3月の『SRサイタマノラッパー』までの50回分の『ザ・シネマハスラー』を中心に『ザ・シネマハスラー』の原点となった『キサラギ』についての批評、しまおまほの4コママンガ『ミューズのぼんやりシネマハスラー』など盛り沢山な構成になっています。 私はポッドキャストでこの本に収録されているシネマハスラーはほとんど聞いています。最近はリアルタイムでタマフル自体を聞くことも多くなっています。TBSラジオの番組を書籍化したものとしては『コラムの花道―2007傑作選』などがありました。なんとなく構成的には『コラムの花道―2007傑作選』と似ている感じがします。 シネマハスラー宇多丸さんが自分の意志ではなく、出たサイコロ目の映画を見て、その映画について批評するというコーナー。このコーナーの面白さは本職の映画評論家ではなく、映画業界とほとんど利害関係のない立場から歯に衣着せず、辛口に映画を斬っていくところだと思います。最近はテレビ局主導で作られる日本映画が多くなっているため、宇多丸さんやTBSに関わりがある映画もこの本の中に何本か登場しています。 サイコロで出た目の映画を見るというルールがこのコーナーのもう一つの肝になっていて、話題の映画ばかりになっていないところがこのコーナーの成功につながっています。初回がいきなり『カンフーくん』で2回目が『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』ですからね。私自身、このコーナー聞いて見た映画は何本もあります。この本に出てくる映画で劇場で見たのは『その土曜日、7時58分』、『愛のむきだし』、『ヤッターマン』。『少林少女』と『20世紀少年』はテレビで見ました。『20世紀少年』は途中で完全に寝てしまいました。 改め本としてまとまった形で読んでみると、宇多丸さんの映画に対する姿勢がはっきりと浮かび上がっています。一言で言えば「生真面目」。宇多丸さんが映画に対する姿勢は真摯で、生真面目。非常に簡単に言えば、安易なテレビ局主導の映画については常に怒気を含んだ感じの語り口になり、小規模でも映画そのものへの愛に満ちた映画、新しいアイディアや制作者の真摯な姿勢が伺える映画は評価が高くなっています。 ラジオの中の話芸としてのシネマハスラーは一つの完成したスタイルして面白いと思うのですが、本としてまとまった形で読むと宇多丸さんの映画に対する真摯で生真面目なところが少し暑苦しい感じがします。ダメな映画も褒め殺しで語るような余裕みたいものが欲しいというか、ダメな映画でも視点を変えると別の楽しみ方もできるみたいな語り口もあったらいいかと思います。 この本の中ではしまおさんの4コママンガが息抜き的な感じで入っているのが良かったですね。しまおさんユルくて、ボンヤリしたところがちょっと力の入った話が続いたりしたときにはいいブレイクポイントと言うか緩衝材になっています。 宇多丸さんとしまおさん以外の番組スタッフの座談会はグダグダでラジオと同様にあまり面白くありませんでした。 と色々と文句も書いたりしましたが、オススメです。 TAMAFLE BOOK 『ザ・シネマハスラー』
TAMAFLE BOOK 『ザ・シネマハスラー』