ぶら~りネット探訪

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北尾トロの「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」を読んだ

北尾トロの「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」を読んでみました。 北尾トロの裁判傍聴の本は以前に「裁判長!これで執行猶予は甘くないすか」を読んだことがあります。私は8月に初めて実際に裁判を傍聴してみました。裁判を傍聴してみてから裁判傍聴の本を読んでみるとやはり以前よりも法廷のイメージというか雰囲気が感じられるようになった気がします。特にこの「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」は北尾トロが初めて裁判を傍聴し、様々なタイプの裁判を傍聴しながら傍聴人として裁判を見る目が肥えていく様子が時系列に書かれているのが非常に面白く感じられます。 この本で取り上げられている裁判は圧倒的に無名な事件の裁判の方が多いのですが、有名な事件の裁判も何件か取り上げられています。音羽のお受験殺人、田原成貴覚せい剤、そしてオウムの麻原彰晃こと松本智津夫中川智正松本智津夫の裁判は松本智津夫が意志の疎通ができない状態になってからの公判でオーラも何も感じられなかったと書かれています。やはり面白いのは田原成貴ですな。田原成貴は被告人の最終陳述で涙を流しながら「私を公判の、その、検事側証人として立たせて下さい!」と叫んだそうですが、その芝居がかった言動は田原らしいですね。このとき田原の頭の中は脳内麻薬がいっぱいになっていたと思います。 表紙の背中にドクロの描かれた服を着た被告人は、実際に北尾トロが傍聴した交通事故の裁判の被告人をモデルに描かれたものだと思われます。この被告人は車で人をひいて殺しているのですが、裁判には表紙の絵のとおりドクロの描かれた服を着てあらわれ、挙句にあまり誠意の感じられない謝罪を繰り返し、北尾トロや裁判官まで呆れられる始末。そして、閉廷後にエレベーターを持っている被害者の両親に謝罪したが無視され、なぜか北尾トロに「すみません」と謝ったそうだ。被告人の服装については殺人を外国人に依頼したチンピラのTシャツの背中に「Love&Peace」と書かれていたり、シンプソンズファミリーやミッキーマウスが描かれたシャツを着ていた被告人もいたそうだ。ちなみに私はキャラクターモノの服を着た被告人にはまだお目にかかったことはありません。 裁判だけでなく、裁判所の前で自ら民事裁判(長年働いていた会社に裏切られたため裁判で争った)の体験書いた本を売る阿修羅のヤスの話もいいですね。私が8月に裁判所に通ったときも裁判所の前で拡声器で叫ぶオジサンがいました。女子高生に囲まれながら痴漢の裁判を傍聴しかと思うと、まわりをヤクザに囲まれ冷や冷やしながらヤクザの親分の裁判を傍聴したり、北尾トロはそうこうしているうちに傍聴マニア集団「霞が関倶楽部」と親しくなり、この本の巻末には彼等との座談会が収録されていたりします。 裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)