ぶら~りネット探訪

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ナベツネの「わが人生記―青春・政治・野球・大病」を読んだ

わが人生記―青春・政治・野球・大病
わが人生記―青春・政治・野球・大病

去年出版された渡邊恒雄の「わが人生記―青春・政治・野球・大病」を読んで見ました。

タイトル通り、青春・政治・野球・大病についてナベツネが人生を振りかえって語った自伝になっています。

青春については、戦争時代の苦労が語られ、ナベツネがなぜ軍隊嫌いになり、その後、東大時代に共産党に入ったかが語られています。この話題は現在の「靖国問題」にも繋がっていて非常に面白いものでした。ナベツネ共産党入党の理由が「世界同時革命の達成」などというものではなく、「天皇制打倒」という共産党の当時の方針に共鳴したというのが凄いです。今こうして自伝にもそのことをはっきり書けるというところが、またナベツネの凄さです。

「渡邊恒雄音楽葬曲目集」のカセットテープの写真には不謹慎ですが笑ってしまいました。ナベツネが自分の葬送行進曲を考えてたのは戦争中の出征のときで、その時にナベツネは死を覚悟し実際に仲間たちとチャイコフスキー交響曲第六番「悲愴」を蓄音機で聞いたとこの本には書いてあります。この辺の描写はなかなかグッと来るものがあります。

政治については、政治記者だったナベツネの半生を振返るものではなく主に小泉首相の行っている政治手法、政策について、非常に回りくどく批判しています。この辺のことは以前から現在までナベツネがよく言っていることなのであまり、新鮮味はないのですが、「リーダー論」と政治宣伝の手法についての解説(主にナチスヒトラー関係について)はなかなか面白いものがあります。

野球については2004年のプロ野球の再編騒動について語っているのですが、これは他でも色々と語られてことばかりなので、私には面白く感じられませんでした。

大病についてはナベツネが1998年に患った前立腺ガンと奥さんのクモ膜下出血についての闘病記になっています。この章がある意味で「人間 渡邊恒雄」というものが表れていて興味深く、ある意味感動的な内容でした。病気や手術に関するナベツネの描写が非常に的確でわかりやすいため、私は読んでいて具体的な映像が頭に浮かんでしまいました。最後の奥さんに対する思いの部分や金婚式についての話は非常に感動的でした。

全体的に読みやすい、分かり易い文章で面白い内容の本でした。ちょっとボリュームに欠けますが、ナベツネが自ら人生やプライベートな部分をさらけ出しているところは好感が持てるし、興味私深いものでした。